謝罪
少女の頃、登校中に
眼の前の景色が歪んで見えた
路上に植えられた木々や草花
僅か遠くに見える山々が
燃えながら 歪んでいる
その風景が記憶の隅々にまで広がって
教室から見える校内に植えられた
ひょろりと立っている木に
ただただ、眺めながら
ごめんなさいと、謝罪した
また、ある日の登校中に
道端に横たわる小鳥を見つけた
少女は駆け寄ってみたが
小鳥は既に硬直し、石のように
固く、冷たかった
持っていたハンカチに小鳥を包み
制服のポケットに入れて
学校での一日を送った
帰宅した少女は裏庭に小鳥を埋めた
みんな、土に還る
少女は西の山々に消えてゆく
大きな夕日を眺めながら
自室で泣いた
大声を上げるわけでもなく
ただ、涙が出ることに抵抗しなかった
わたしは、この一部になりたい
彼女はそう呟き
今も同じ思いで
生きている