[BANKEX] FinTech革命:Bank-as-a-Service

in #japanese7 years ago (edited)

 Banking as a Service:顧客の利益を目指した革命 

 従来型の金融システムの技術的進歩に伴い、「バンキング」という言葉は消費者にとって新たな意味を持つようになりました。これまでとは異なり、銀行業務に関わる日々の決定に消費者が積極的に参加していくという状況を私たちは目の当たりにしています。例えば、小売店は商品やサービスの販売時に顧客にローンを提供することができ、公益事業会社のウェブサイトでは請求書の支払いを行なうことができるようになっています。そして、クレジットカードもスマートフォンに取って代わられつつあります。このようなことは、今日においてはすべて当たり前の光景となっています。 

 そして今では、バンキングは顧客に求められるような金融サービスを提供することを意味するようになってきています。顧客は自分のお金を保管する場所を自由に選択できるにも関わらず、その金融サービスの提供元をあまり気にすることがありません。顧客にとっては、サービスの提供元が銀行であろうと、電話会社であろうと、小売業者であろうと、はたまたインターネットサービスプロバイダであろうと一向に構わないわけです。そのような状況の中で、マーケットは技術的革新や消費者のニーズの高まりに順応していき、それによって新しいモデルが生み出されることとなりました。そのモデルこそが、Bank-as-a-Serviceなのです。 

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 銀行とFinTech:競争と協調 

 技術的な発展によってFinTech企業の成長が急速に進み、その結果として銀行の独占的な地位が奪われつつあります。世界初のオンライン銀行の1つに、1999年にイーロン・マスクによって立ち上げられたX.comがあります。しかし、X.comの立ち上げ後すぐにイーロン・マスクはPayPalチームに移り、そこで送金サービス市場を根底から覆し、送金サービスを銀行からWebへと移行させ始めました。 

 専門家たちは、銀行の死が差し迫っていることを予見し始めました。彼らは、FinTechこそが銀行に完全に取って代わるものだと考えました。その後、銀行も様々な技術で試行錯誤を始め、FinTechラボの開設やスタートアップ企業の買収にも着手し始めました。しかし、このようなアプローチはすぐに非効率であるということが分かりました。マーケット上で車輪が無料で利用できるのに、なぜわざわざ銀行が車輪を再発明する必要があるのでしょうか?さらに、このようなイノベーションは従来型の銀行にとってはあまりにも異質なものであり、若い世代の顧客を呼び寄せるための単なるファッショナブルな「機能」に過ぎないということも露呈しました。 

 その一方で、FinTech企業やブロックチェーン企業によるプロダクトのマーケットシェアは非常に少なく、マーケット全体に占める割合はほんのわずかしかありません。FinTech企業がマーケットシェアを伸ばしていくためには、銀行との連携が欠かせないものになります。銀行という慣れ親しんだブランドの下であれば、顧客も革新的な金融プロダクトを進んで利用するようになると考えられます。そのため、FinTech企業によるプロダクトは最終的には銀行に行き着く必要があるのです。 

 その結果として、銀行とFinTech企業はお互いに協調していくための生産的なモデルに対する理解を形成していく必要があります。 

 BANKEXのCEOであるIgor Khmelはこう述べています。「人々には金融機関の方により信用を置く傾向があるようです。多くの人にとっては、いつ停止するか分からないインターネット上のウェブサイトよりも、現実に存在する信頼できる場所が重要なのです。そのため、銀行の支店の数は今後少なくなっていきますが、それでもシステム内における信頼の象徴として依然として残り続けることになると考えられます。しかし、そのような銀行の役割は根本的に変わることになります。銀行の支店だけでなく、銀行全体がFinTech企業や提携銀行から提供される様々な金融サービスの販売場所となっていくのです。」 

 Banking-as-a-Service:銀行免許を持たない銀行 

 このようにして、Banking-as-a-Service(BaaS)というコンセプトは新たな金融プロダクトの構築を可能にするビジネスモデルとなり、数多くの技術的ソリューションと統合されていき、さまざまな管轄区域内でサービスを展開することができるようになりました。 

 Chris Skinner氏はこのモデルのことを「レゴ・バンク(Lego Bank)」と呼んでおり、銀行やFinTech企業のプロダクトの中からAPIを選択して組み合わせることで、銀行ライセンスを持たなくてもフルスケールの銀行を構築することが可能となります。「投資銀行をお求めですか?どうぞ!」、「商業銀行?どうぞどうぞ!」、「小売銀行?お安い御用です」。このような感じで、いくつかの分析を加えるだけで、すぐにでもビジネスを始めることができるようになるのです。 

 このようなモデルに基づいて構築された銀行は、マイクロサービスアーキテクチャを基盤とし、バンキング技術向けのマーケットプレイスにあるオープンソースソフトウェアを使用しているため、たった1日でサービスを立ち上げることが可能であり、さらに毎月サービスを更新していくことも不可能ではありません。 

 分散型のBaaS — バンキングの未来 

 BaaSモデルによってもたらされるバンキングの変革に備わっているこのような利点すべてをもってしても、私たちは依然として顧客志向のエコシステムの実現を目にすることができていません。その理由として、信用の欠如が大きな障害になっていることを挙げることができます。 

 銀行は、基本的に自社以外の銀行やテック系企業を信用していません。自分たちよりも優れた銀行や技術的に進んだ企業と提携を結ぶことによって、自社の顧客基盤を失うことを恐れているのです。また、他の企業の代替プロダクトと比較して自社のプロダクトが競争力に欠けているということが判明してしまうということも恐れています。さらに、自社の基本プロダクトに対してイノベーションを取り入れることで、規制当局から罰則を課されることを恐れています。 

 エコシステムには分散化が必要であり、参加者は「多対多」の関係に基づいてお互いにやりとりを行う必要があります。従来の方法では、システム内でそのような信用を幅広く保証していくということは想像さえできないことでした。そのようなこともあり、BaaSというコンセプトは長い間実現不可能であると考えられてきました。 

 幸いなことに、技術的な進歩によって信用に関わる問題に対するソリューションがもたらされることとなりました。ブロックチェーン(分散型の記録管理)とスマートコントラクトという技術の出現がそれを実現可能にしたのです。 

 専門的な市場参加者の多くが、ブロックチェーンを基盤としたBaaSビジネスモデルが、従来型の銀行と金融企業との間だけでなく、先進的なIT企業と成長しつつある未来の分散型テック企業との間の協調を構築していくための最適な方法であるということを認めています。 

 このモデルでは、フロントエンドのカスタマーサービスは依然として主要な銀行の手に残されたままとなります。しかしその一方で、金融プロダクト自体はより専門的なFinTech企業によって提供されることになります。 

 B2B2C型のビジネスモデルを組み合わせることによって、BANKEXはグローバルな金融技術の進歩の中で目標に向けて絶えず前進し続けていくことができると考えています。 

 バンキングのためのプラットフォーム 

 長期的な計画として、BANKEXはBaaSのアイデアを発展させ、店頭でもアクセス可能なプラットフォームを構築しようとしています。それによって、銀行、決済サービス、eコマースサイト、取引所、保険会社といった異なる技術を備えた様々な管轄区域内のエンドユーザー(BaaSモデルではオリジネーターと呼ばれます)へのアクセスを保証します。その一方で、FinTech企業によって新たなプロダクトのローンチや、新たなマーケットへの参入を目指していきます。プラットフォームのおかげで、このようなことも迅速かつ効率的に行うことが可能であり、新たに追加する国の法律を遵守したり、新たに追加する銀行との統合を開発したりする必要もありません。プラットフォームにはすでに必要な全てのAPIが含まれており、迅速かつ安価に新しいプレイヤーに対してアクセスを提供することが可能です。 

 プラットフォーム上の顧客へのアクセスの管理がオリジネーターによって維持されるということは極めて重要なことです。このようにすることで、BaaSプラットフォームは法人顧客や小売顧客にとって唯一の窓口となり、そこから顧客はさまざまな国の銀行やテック系企業のサービスを受けることが可能となります。金融マーケット内にいるさまざまなプレイヤー同士をつなぐ際に生じる技術的および法的な問題の解決は、いつでもプラットフォームの責任となります。 

 

ここまでの話から、BaaSとは新たな金融プロダクトの構築を可能にするビジネスモデルの1つであるということが分かりました。BaaSに備わっている分散化という性質によって、銀行や顧客にはこれまでとは異なる全く新しい関係を構築するための手段が提供されることになります。現在のバンキング業界に変革をもたらし、金融分野において革新を生み出すことができるのは、まさにこのようなシステムなのです。


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